SPECIAL ISSUE|INTERVIEW

『Over the distance 熊谷和徳×康本雅子

『Over the distance』

熊谷和徳×康本雅子
KAZUNORI KUMAGAI×MASAKO KUMAGAI


ニューヨークを拠点に活躍するタップダンサー・熊谷和徳の連載企画『Over the distance』。
今回はこの企画始まって初めて、初対面の方がゲストです。
前回の近藤良平&森山開次に続く、ダンサーシリーズ第2弾ということで、
コンテンポラリーダンスを中心としたダンサーおよび振付家として活躍する康本雅子さんをゲストに迎えました。
ジャンルは違えども、ダンサーとしての本能が2人の体内の奥底で通じ合ったようで、対談はお互いのダンス観でヒートアップ。
自身初めてという、康本さんのタップシーンも貴重。こちらも併せてご注目あれ。


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康本(以下Y) 私、実は数年前に熊谷さんのタップを生で見たことがあるんですよ。(舞踊評論家の)乗越(たかお)さんに連れられて行ったんですけど、タップを観るの自体初めてで。タップの公演を自分が丸々見られると思ってなかったのですが、あっという間に終わったのがまず意外でした。タップなんだろうけど、そういうのを超越してて。あまりにもすごい衝撃を受けると、人と話したくなくなるんです。言葉にすると、おしまいになる気がして。だから、その時も終わった後、乗越さんの飲みの誘いも断ってすぐに帰ったくらい(笑)。
今回の対談の前にDVDも観ましたけど、すぐ入っていけちゃう。見てると、自分も一緒になってやってるような感じがするのかな。たぶん構成とかも、お客を飽きさせないようにやってると思うんですけど、タップ始めた瞬間、自分のためにやってるのが見えて、それが逆に安心する。「見て下さい!」って来たら引いちゃうんだけど、究極的には自分のためにやってるんだろうし、タップに対して恍惚の意識に達してるから、私も一緒になれるっていうか、共振できる。それがダンスの醍醐味でしょう。


熊谷(以下K) 元々、タップを始めたのが自分のためだけっていうきっかけでしかなかったから。NYに行ったりして、一時期は気を張って、みんなにタップを広めたいっていうのもあったけど、結局は自分のために追求するし。ただ、人が喜んでくれないと自分も喜べないから。


Y 熊谷さんが自分のためにやってるのが嫌みじゃないのがすごくわかるから、見てる方はイコール喜びなんですね。ある瞬間、「この人、手の届かない所に行ってしまった」っていうのが好きなんです。観に行くんだったらそういうものを観たいし、自分も踊っててそういうところに行きたい。ジャンルとか全然違うけど、なんでダンスやるかって言うと、得られない恍惚感を得るためだけにやってるようなものだから。


K 僕は康本さんのダンスをDVDで観ましたけども、潜在意識の中で後頭部の辺りに来る感じ。あれを見て寝たら、夢見てうなされた、みたいな(笑)。見てる時と、後に残る感覚が強烈に来る。女性にしか出せない感じというか。それがすごく美しくもあり、ダークで毒みたいな部分もあって、生々しい感じがする。見てはいけないものを観てるような。でも、PVとか映画の振付とかやっていて、意外とこういうところで目にしてたんだなって思って。自然に康本さんが存在しているのが新しいなって感じました。知り合いの監督さんに頼まれて、僕も先日CMで振付をしたんですけど、他人に振付するのも初めてで、気軽にOKしたらすごい大変だった。でも、すごく勉強になったし、おもしろかったけど、終わってみるとちょっと寂しい。やっぱり自分が表現したいっていう気持ちが強いから。


Y それはそうだよ。私も頼まれてるから振付の仕事やってるようなもので、自分が踊る方が好きだし。

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